データとアーキテクチャ<br>〜MaaSでのサービスの進化と可能性〜

データとアーキテクチャ
〜MaaSでのサービスの進化と可能性〜

岸田 崇志のアイコン
岸田 崇志
CTO
株式会社スマートドライブ
牧野 祐己のアイコン
牧野 祐己
CTO
株式会社プレイド

MaaSやCASE、自動運転の実用化、新たなモビリティサービスなど、未来へ向けてさまざまなモビリティ社会が描かれていますが、それと同時に「本当にそんな未来は実現するのか」「法規制はどこまで進んでいるのか」という声が上がっているのも事実です。現在地の状況と実際に起こりえる未来から課題を洗い出し、現実的な視点でモビリティの未来を考えていきましょう。

スピーカーの自己紹介

牧野2009年から2014年まで、IBMソフトウェア開発研究所にて研究開発業務に従事しました。2015年にプレイドに参画し、データ分析エンジンの研究開発を担当しています。プレイドは200人ほどが在籍する小規模ベンチャーで、ウェブサイトのデータ分析とアクションが実行できるKARTEというSaaSサービスを提供しています。

岸田スマートドライブでCTOを務めています。それまではCxOとしてFinTech、EdTech、ウェブサービスやゲームサービスの立ち上げに携わってきました。今後は新たなチャレンジとして、MaaS業界を盛り上げていきたいと思っております。

MaaSの現在地をインターネットの歴史で例えてみる

岸田インターネットの歴史と比べると、MaaSの現在地は今、どこにあるのでしょうか。日本でインターネット元年と言われたのは1995年ですが、ここではインターネット検索に焦点を当てて比べていきましょう。

20年近く前のインターネットは、人手を介して情報を整理して、その情報にアクセスする流れで利用されていました。今考えるとかなり原始的ですよね。それが2000年代に入り、Googleが出現したことで大きく変わります。ロボット型検索エンジンにPageRankというアルゴリズムが追加されたことと、、ハードウェアスペックの向上により大量の自然言語解析を行うことで、より人が欲しい情報を提案できるようになりました。MaaSはまさしく、まだ人が欲しい情報を的確に提示できていないという点で今この地点にいると考えております。

インターネットとMaaSをさらに比較していくと、インターネットにおけるディレクトリ型検索の部分が今のMaaSの現在地。つまり、10年以内にMaaSを使った情報提案の分野も大きく成長を遂げていくのではないかと。MaaSと聞くとGPSによる位置情報や車というイメージが強いかもしれませんが、実態としてはもっと拡張余地がありますし、通信ではラストワンマイルがボトルネックでもあるので5Gなどの要素が揃った時に爆発的な進化を遂げると予想できます。これらを踏まえ、2000年代のインターネットと同じぐらいのタイミングだと捉えており、今はここから先、20年でどのように変わっていくか、変えていくべきかという重要なポイントに立っているのです。

スマートドライブとしては、場所と人にアクセスできるようになってきたところですが、ここから先の未来について、将来的には車に乗る人の行動がどのように変容するか、そして都市がどのように変わっていくかを考えながらサービスを開発しようとしています。そこで先に進化を遂げているインターネットの先人であるプレイド様から、インターネットの進化とインターネットマーケティングにおいて、人、行動、顧客体験をどのように変えることができるのか、どのような点に苦労されてきたのかについて、お伺いしたいと思っております。

データ活用の進化

岸田ここで少し話の切り口を少し変え、データ活用の進化を振り返っていきましょう。

データ量のみで話をすると、インターネットの“中”の情報は大量に蓄積されてきましたが、今後はそこへ移動データ、センシングデータなどインターネットの“外”にあるデータが追加されることで、データ量が爆発的に増えていきます。それに伴い、データをどの程度扱い、それをどう解釈し、どう活用していくか、セキュリティやプライバシーへの考え方もアップデートしていかなくてはなりません。2000年以降、データ量が急激に増えて急速に進化を遂げたインターネット。これが一次情報爆発だとすると、二次情報爆発はこの何倍にも膨れ上がり、データの扱い方に関しても今までとは違う観点が求められるようになる。その点についてはMaaS事業者が頭を捻らせながら考えていくべき部分であり、これから進化の可能性がとても大きい部分です。

そのうえで、スマートドライブが今後MaaSをどのように考えていくか、その進化の過程を四象限のマトリックスで表したものがこちらです。

四象限をインターネットのデータの利活用に例えて説明します。

右上:GoogleAnalyticsのようなサイト分析の部分で、サイトにどれくらい人が訪れ、どのように、どんな頻度で見ているかを知る。

右下:アナリティクスのデータを加味してセグメントを切り、どのようにアプローチすればエンゲージメントが向上するかを考える。専門家の領域ではありつつもPDCAを回すのに重要な部分。

左下:専門家でなくても取得できた情報から自動的に閾値を決めたりサジェストしたりするフェーズ。これによってユーザーのエンゲージメントをあげることが可能に。インターネット業界の現在地はここ。

MaaSはまだ「分析・レポーティング」に位置しますので、インターネットと2フェーズほどの差があります。そのため、MaaSが進化するにはインターネット業界がそこにたどり着くまでのノウハウと知識を知ること-- つまり先人に学ぶべきだと考えたのです。

牧野インターネットはまだ進化の過程にいますし、私たちとしては左下「ロボットがデータを自動的に利活用」に取り掛かり始めた段階です。専門家以外のデータ活用を可能にする点に関してはまだチャレンジ領域ですね。

岸田現時点で苦労されているポイントはどこでしょうか。

牧野この領域に関してはおもにAIテクノロジーが利用されますが、AIは期待値が高いものの、導入したらすぐに効果が出るという域にはまだ達していません。その未来を実現するには、MLを理解しながらうまくコントロールしていく必要があります。

岸田なるほど。ここで少し質疑応答タイムを。1つめは情報に関する質問ですね。牧野さん、いかがでしょう。

質問これから情報爆発によって世界が様変わりするかと思いますが、現行の法律では対応できない・そぐわないと思う内容について、現時点でわかっているものはありますか。

岸田昨今、ヨーロッパではGDPRという法律が施行され、個人情報の管理徹底がより厳しくなりました。個人の位置情報や移動データなどの管理が厳しくなる反面、そうした制約の中でどのようなサービスを生み出すか、サービス提供者はバランスが求められるようになるでしょう。最近では、新型コロナウイルス感染防止策としてAppleやGoogleが移動傾向データを提供していますが、匿名化と移動データの利活用の線引きについてはこれから整えられるところです。

プライバシーに対して法律的にどうすべきかはまだまだ考える余地があります。どこからがプライバシーでどこから利活用データとするか、線引きをどのように設定していくべきかが非常に重要なところですね。

質問データ活用(分析)アプローチにおいて、何をアウトプット(得たい)したいからという考えで取組まれているのでしょうか?みなさんの着手イメージ、キッカケの助けになるかと思います。

牧野データ活用をどのようにアウトプットするか、つまり、実際のイメージから逆算するということが大事です。インターネットのサービス設計においても、データを集めすぎてどう扱えばいいのかわからないという課題がありました。
まずは何のためにこのデータを取得しているのか、取得すべきデータを精査すること。そしてネクストアクションにつなげることができるデータかどうか、一つひとつのデータを検証しながら考えるべきです。単純にサーバにデータをためればいいという話ではなく、何につながるデータで、そのためにキーとなるデータは何かを見極めるべきでしょう。

インターネットとアーキテクチャと都市アーキテクチャ

岸田インターネットの歴史、データ活用の進化と続きましたが、次は“都市”をレイヤーに落とし込んで見ていきたいと思います。広義のMaaSはモビリティだけではなく、都市全体で考える必要があるからです。
インターネットは急速に広がった理由は、一つのベンダーではなく、それぞれのレイヤーで分散しながら得意分野を構築してきたことが大きく関わっています。

では、これを都市に落とし込んだ時にどう考えられるか。

防災マップ、ハザード、医療、不動産の区画を示したマップ、道路の交通渋滞を含めたマップなど、実は都市も物理的空間においてレイヤー化されているのです。

一方、これをインターネットと照らし合わせた時にどのようにレイヤー化できるでしょうか。内閣府のスーパーシティ構想で提示されている「スーパーシティを支える仕組みのイメージ」では、建築物、交通網、地上インフラ、埋設インフラをフィジカルレイヤー、サービス、情報、建築、交通をデジタルレイヤーと示しています。これらを組み合わせることでスーパーシティ化をしようということです。

この中で、現状のスマートドライブは一部でサービスを含みつつも、おもに交通網に該当します。

3年〜5年後を見据えると、それぞれのレイヤーにどうアプローチしていくべきか、どのようにつなぎこんでいくべきかを考える必要がありますが、アウトプットを第一にすると、交通網のみに注力するのではなく、レイヤーを横断しながらサービス設計をした方が国内MaaS実現への近道になるのではないかと思うのです。

MaaSはモビリティや位置情報ばかりにフォーカスが当てられますが、センサーもMaaSの一部ですし、建物自体もMaaSの一部だと考えられますし、そうした部分も含めた設計がMaaSに変わる。そうした概念の変換がここ5年で起きるでしょう。

GPSをベースとした位置情報のサービス提供は狭義でのMaaSです。今後のMaaSは移動手段やGPSで取得できない屋内の移動データを組み合わせてサービスが提供できる。そして、インターネットと物理的な行動を結びつけることで、サービスの進度をあげる。データドリブンな施策を実行するためには、アーキテクチャをしっかりと設計しなくてはなりません。
さらに、アーキテクチャだけでなくデジタルなインターネットと物理的な都市、そしてソーシャルが結合化されると、オンライン・オフラインを超えてより良いものが創出できるのではないかと考えています。

これからのデータ活用とは

牧野私からは、ウェブ上で人の行動をどのように変えているのかを説明します。先ほどもお伝えしましたが、重要なポイントはアウトプットを先に考えること。ですから、まずは人の行動を変えるにはどのようにデータを活用するべきかを考えます。

プレイドがミッションとして掲げているのが、「データによって人の価値を最大化する」です。データを生み出している人が豊かになる、社会が豊かになることこそが重要だと考えていますので、そのゴールに向けてデータをどう活用すべきかを大事なポイントに置いています。

プレイドが実現しているのは次の4つです。
・大量のデータを人軸で整理
・リアルタイムで利用
・多様なデータの連携と変換
・Human in the LoopのML(機械学習)システム

これらによって人の行動を変えることができるデータ分析を実現しています。

・大量のデータを人軸で整理
データは“人として見る”ことが非常に重要です。これまでのデータ分析は、まとめられたグラフや数値から俯瞰的にインサイトを得ていました。MaaSで重要なのは人の行動を変えることですから、人に対してなんらかの形で働きかけなくてはなりません。そのためには、データを人として見る、人としてイメージできる形にすることです。
数値をまとめるだけでなく、まとめられた数値を構成しているのはどのような人たちであるのかを掘り下げて見ることができるようにデータを構築する。これが人軸でデータを整理するということです。

アーキテクチャ的な観点では、裏側の仕組みの限界が懸念されていました。多数のユーザーの行動のログが溜まっていきますが、それらを維持し続けることが難しいため、レイヤーの段数が少なく、早期にサイトやページ単位、商品軸でデータがまとめられることが多く、価値転換としてはサイトや商品の改善が中心に行われていたのです。データを人軸で整理するということは、人軸のデータに対して解釈が重ねられ、個人の行動パターンから特徴、特徴から特徴へと細分化され、最後に数値やグラフで落とされる構造になる。多層のレイヤーで構想することで、最終的にその人に対してどのようなにアクションを取るべきかを考えることができ、価値を還元することができるのです。

特性を捉えたら、そこで終わらず、その人の行動を変えることが重要です。そのためにはリアルタイムに行動の変化、状態の変化を捉えなくてはなりません。逆算して考えると、「行動を変えたい→行動を変えるためのアクションを起こす→アクションの対象とタイミングを考える」ということ。プレイドではこの考えを中心に据え置いて仕組みを構築しています。そして状態の変化を捉えたうえで、最適なタイミングで施策を実行するようにする。その結果からどのような施策が有効か、対象をどう絞るか、創造と想像を繰り返します。このようなサイクルで、バックキャスティングで考えていくことが人の行動を変えることにつながっていくのです。
解析軸は無限ですが、逆算で考えることで必要な分析を理解し、無駄を省くことができます。

・リアルタイムで利用

このサイクルを実現するためにどのような仕組みを作っているのか、わかりやすく示したものがこのスライドです。私たちは0.X秒と呼んでいますが、1秒以内にエンドユーザーの状態変化を掴み、なんらかのアクションを起こすというリアルタイム性を担保した設計になっています。リアルなコミュニケーションを想定してエンドユーザーの変化に対してアクションを起こす(自動で設定された施策を実行する)のですが、ここでタイムラグが1秒以上発生してしまうと自然なコミュニケーションにはなりませんので、1秒以内に解析・アクションの実行ができるようにしているのです。

裏側では私たちのクライアントがエンドユーザーのリアルタイムの情報を見ており、それに対して自動で設計された施策を設定できるようになっています。そして施策の結果を見て解析する、解析の結果から施策を検討する、これをぐるぐると回しながら改善します。

・多様なデータの連携と変換

データで人の理解を深めるには行動データだけでは不十分なため、多様なデータとの連携が必須です。そしてそれらは紐付けしていろんな角度からデータを見るのではなく、速やかに変換し、アクションの材料として使わなければ意味をなしません。そうした考えのもと、私たちはそれを実現できるプラットフォームを構築・提供しています。

・Human in the LoopのML(機械学習)システム

AIは正解がわかっている問題に対しては即時答えを出すことができますが、多様なビジネス課題に対してそのまま利用できるかというと、まだ対応が不可能な部分も多くある。そのため、ビジネス課題に柔軟に対応すべく、プレイドでは課題解決が難しい箇所については人が考え、データ分析はMLパイプラインが処理する、一部で人を介在する仕組みを作りました。

さて、ここまでにいくつか参加者の質問が来ていますので、順番に答えていきたいと思います。

質問「人軸でデータを整理する」というのはユーザIDごとに分析していくという認識で良いのでしょうか?それとももっと大まかなカテゴリごとというイメージでしょうか?

牧野基本的にはユーザIDで分析を可能にしています。

質問「データを人軸で整理する」イメージがわきません、具体的な整理軸?データ形式?を教えてほしいです。

牧野先ほどの回答と同様で、ユーザIDでまとめることです。またはブラウザのクッキーなどで分析する。最大の目的はインターネットの裏側にいる人に対して理解を深めることですから、実際に存在する人の軸でデータを整理していきます。

質問人軸の軸というのはどういうことになりますでしょうか?確率論で動く質点などではなく、質点に何かしらの行動原理を植え付けるという感じでしょうか?

牧野確率論ではありません。基本的にはわかる範囲で裏側にいる人に対してデータを紐づけていくというイメージです。

質問「あるウェブページに対して、購入を迷っている、似たような商品を探しているという状態を把握してそれぞれの困りごとに応じたアクションをリアルタイムに行うというイメージであっていますか?」

牧野その通りです。そういう困った人がいたらこういうアクションを設定するというルールを構築しておいて、彼らが行動を起こしたら実施する流れです。
と、少し時間が迫って来ましたので、次の議題を進めさせていただきますね。

ウェブの外では人の行動をどう考えるべき?

牧野同じウェブサイトであっても、各ユーザーのリテラシーや経験値によってウェブサイトの使いやすさ、使いにくさは異なるものです。パーソナライズすることでユーザビリティをあげることはできますが、実現するのは簡単なことではありません。そこでヒントになるのがリアルな世界での対応です。実店舗では、多様なユーザーに対して個々に合わせた自然な対応が行われていますよね。ウェブでもリアルな世界で行っているコミュニケーションや接客を実現できると、この問題が改善されるのではないでしょうか。

新型コロナの影響で、さまざまなサービスがオフラインからオンラインへシフトしていますが、この流れはますます強化されていくでしょう。こうした状況になる前からすでに、リアル店舗そのものがオンライン化へ移行している事例も少なくはありませんしね。ウェブで予約して店舗に商品を取りに行く、実店舗で使えるクーポンをウェブで付与するなど、リアルとウェブを連動させるケースも増えています。ウェブ上でリアルなコミュニケーションを取る、ウェブ上にスタッフが常駐して店舗と同じようなきめ細やかな接客をリアルタイムで行うシーンを目にするのも、そう遠い未来ではないでしょう。

ここで一つ、京都市観光協会の事例を紹介します。
京都を筆頭に、主要な観光都市ではキャパシティ以上に観光客が押し寄せてしまうオーバーツーリズムに頭を抱えています。この課題に対して、サイト上で観光の提案を行うことで観光客の分散に取り組みました。この例で示せるのは、リアルな行動がウェブ上の動きに影響を受けていること。各々のユーザーに適切な情報を届けることによって、リアル世界での課題を解決できる可能性が高まると考えられます。

つまり、ウェブの境界が曖昧になってきているということが言えます。
その1つがウェブのリアル化です。これは私たちが提供しているKARTEというサービスが目指している部分でもありますが、ウェブ上の個々のユーザーの表情が見えることが重要で、彼らの状態を把握したうえでリアルタイムにアクションできる世界を実現したい。もう1つがリアルのウェブ化。現実の行動にウェブが組み込まれている環境が実現しようとしています。

ウェブとリアルの境界が曖昧になっていくことで、モビリティの観点ではどのようなリアルな世界になっていくのか。よりリアルな世界に有る人の魅力や場所の局所性の魅力が引き出され、地域性がリッチな世界が実現できるのではないかと考えています。

まとめ

岸田最後に、本セッションのまとめを。まずは、MaaSはインターネットやインターネットマーケティングから学ぶことが多く、インターネットの歴史軸から今後の進化を整理し、いま、何が必要で今後何を実行すべきかが整理できるということ。
都市という単位で見ても、インターネットのレイヤーと同じ軸で整理するとシンプルに考えることができますので、今後はレイヤーを横断したサービス展開を考えていきたいと思っています。また、今回の新型コロナの影響もあり、今後ますますオンライン・オフラインの垣根がなっていく。そうすることで新たなサービス展開も可能になるのではないでしょうか。

MaaSを進化させるには、リアルから学ぶことも数多くありますし、インターネット、MaaSなどの区切りに関係なく、より人間味のあるサービスの展開が大事になっていきそうですね。では、残りの時間を質疑応答タイムとさせていただければと。

質問情報のオープン性、提供、は重要だと思うのですが、伝えるときにセットで分析等の前提・条件が必要になると思います。この前提の伝え方についてどう考えられていますか?

牧野データを解析できる人だけにメリットがあるのか、データを生み出している人に対して利益を還元していくか、データを取得する側がどのようなスタンスであるかが重要です。私たちはデータをコミュニケーションに活用することで、エンドユーザーに対して豊かな生活やコミュニケーションを生み出したいと考えています。

質問パーソナライズ・Web3.0が進み過ぎると悪意の誘導が始まる事はないですか?

岸田ユーザーが情報提供する以上、サービス提供側はそれ以上の価値を提供しなくてはなりません。使うこと自体に負担をかけるなら、それの何倍ものメリットを見出せるサービスを提供すべきですし、ユーザーに不利益を被るサービスは広がらないですし提供側はその点を意識して開発することが求められます。

質問移動データ、例えば、マイカーのGPS、交通系ICデータ、乗換案内の検索履歴(Cookie等)みたいなものを、使用者観点で集めるのは非常に重要だと思うのですが、それぞれのデータにユニークキーみたいなものがないとデータが紐づかない問題があるのですが、その部分は使用者のデータ使用許諾を取るしか技術的には解決策はないものでしょうか?

岸田横断的に取得するのはなかなか困難ですが、前提としてデータがどのようなアウトプットで使われるのかをセットで考えなくてはなりません。そもそも情報を提供することでユーザーにどのようなメリットがあるかがしっかり伝わらないと、ユーザーを懐疑的にさせるだけです。その点でいうと、Suicaはもっとも身近な成功例。個人情報や決済情報がありつつも、利便性の高さから利用者が急増しました。アプリケーションありきで裏側のインフラが整うことが重要ですし、ユーザーの利用シーンを考えた上でサービスを構築すべきです。何よりも使われることが全てですから。

本セッションはここまでとさせていただきますが、なかなか核心をついた質問の数々で、中身の濃い内容になったと思います。みなさま、ご静聴いただき、ありがとうございました。

Mobility Transformation 2020のサマリーレポートと全講義資料を無料でダウンロードいただけます

Mobility Transformation 2020のサマリーレポートと全講義資料を無料でダウンロードいただけます

無料ダウンロード