「モビリティデータを活用したデジタルマーケティングとは?」セミナーレポート

「モビリティデータを活用したデジタルマーケティングとは?」セミナーレポート

大里 紀雄のアイコン
大里 紀雄
マーケティング部 部長
株式会社スマートドライブ

コロナ禍によって消費者の意識はどのように変化したのでしょうか?
当セミナーでは、まずはトヨタ自動車100%出資のハウスエージェンシーであるデルフィス様から、大規模調査から見えてきた消費者の変化と、それに合わせてマーケティングはどのように変化すべきかをご紹介。続いてスマートドライブから、モビリティデータをマーケティングに活用する方法を解説。
最後にテレビCMでもおなじみのマーケティングオートメーションツールを提供するSATORI様より、最先端のマーケティング手法について紹介しました。

スマートドライブとは

まず始めに私の自己紹介をさせて頂きます。現在スマートドライブにてマーケティング責任者をしている大里と申します。前職はマルケトというMA(マーケティングオートメーション)ツールベンダー企業にてコンサルタントをしていました。その前はWeb制作会社にてDMPの構築支援や、Googleアナリティクスの実装や運営など、いわゆるデジタルマーケティング畑出身です。では次に、スマートドライブについても簡単に紹介させてください。

「移動の進化を後押しする」これは弊社が創業時より掲げているビジョンとなります。これまでも、馬車、自動車、電車、飛行機…と人やモノの移動は大きく進化してきました。そしてこれからは自動運転やドローンなどの技術革新によって、移動はさらに技術革新していくと思います。移動の進化というと、自動車メーカーやGoogleのようなテクノロジー企業が進めていくだけではなく、それらの企業を含めたあらゆる企業や社会が繋がることによって成り立って行くと考えています。

会社としては2013年に代表の北川が創業しまして現在の社員数は80名ほどです。本社は東京ですが、国内拠点として大阪、東海(名古屋)にも支社があります。 海外拠点としてはマレーシアを中心に東南アジアでビジネスを展開しています。創業からこれまで我々は一巻して移動データの分析・取得・活用ということを事業としてきました。創業当初の2014年に、三井不動産・柏の葉スマートシティでデータ分析の実証実験からスタートし、2015年にはアクサ損害保険株式会社とテレマティクス事業の業務提携を行い、分析の知見を深めて参りました。そして2016年、弊社独自のデバイスを作り、自社でもデータを取得できる状態にするため、SmartDrive Fleetをリリースしたという流れです。

パーソナライズされたメッセージの重要性

本日のセミナーでは、まず最初にマーケティングにおける「パーソナライズ」の話をさせて頂き、次に企業が置かれているOMOの状況について説明させていただきます。その後、モビリティデータを活用してオンラインとオフラインの垣根を取り払う方法であったり、マーケティングにおけるモビリティデータの活用事例を紹介させていただきます。

では早速本題に入っていきたいと思いますが、その前に簡単に質問です。

「1日に目にする広告の数はどの程度あると思いますか?」

答えは約3,000です。これはスマートフォンを操作している時に目に入るバナーもそうですし、メルマガ、テレビCM、電車内のつり革広告、そういったものすべて合わせて3,000あると言われています。

しかし、その中から翌日記憶に残っているのはたったの3件ほどと言われています。実際の皆様の生活を思い返してほしいのですが、相当数の広告が目には入っているはずなのに、昨日目にした広告を思い出してみると、何件くらいありそうでしょうか。私も3件かどうかは別としても、昨日見た広告なんだっけと思い出すのは相当大変です。

そうした中で、消費者の方は広告をある意味信用していないというか、広告が溢れかえっているので、必要な情報は自分で取りにいく、ということが主流となっています。口コミを読んだり、SNSで友達の発信している内容を見たり、レビューサイトを見たりですね。自分で信用できる情報を取りにいくという形です。

これはGoogleが出した調査データですが、自動車を購入する際、カーディーラーに訪問する回数が2005年には5回だったものが、2018年には2回にまで減少しています。そして95%の方が、事前に情報収集を行っていると。つまり、企業が預かり知らないところで、顧客は既に購買の意思決定を固めているというケースが増えています。

このような状況に対応するため、MAやAIを活用し、パーソナライズされた双方向コミュニケーションに取り組んでいる企業が増えています。私事ですが、私には小学3年生になる娘がいて、幼稚園生の頃からYouTubeやNetflixをよく見ています。

左型の図はログインしていない状態のYouTubeの画面で、右側は私の娘がよくつかっているIDでログインした後の画面です。このように、ログインするだけですぐにパーソナライズ、レコメンドされていきます。他にもNetflixでは、私がログインするとアクション映画がレコメンドされるのに対し、妻のアカウントでは韓流ドラマがレコメンドされてきます。

なぜこの話をしたのかと言いますと、自分に最適化されたレコメンドを受けるのがあたり前の世代が増えてきているということです。そんな娘が郵便ポストの中で山積みなっているチラシをまじまじと見て「これ誰宛のチラシなの?」と聞いてきました。もはやターゲティングされていない広告やメッセージがの意味が理解できていないようです。また、少し前まではテレビCMをNeflilxのようにスキップできないことにイライラしていて、自分にとって興味のない広告に対してある種の不快感を覚えているようでした。当然、これはあくまで私の家庭の話ですし、個人の感想となります。とはいえ、遠くない未来にはレコメンドネイティブ世代が増えてきます。すると、今までよりもさらに1人1人に最適なメッセージを最適なタイミングで届ける必要性が今後増していき、レコメンドやパーソナライズされたコミュニケーションが当たり前となっている時代が訪れるでしょう。

ポイントは、こうしたパーソナライズ・レコメンドをするためには、「データ」が必要となることです。誰もログインしていないYouTubeのように、データが何もないところからはレコメンドをすることが出来ません。ですので、パーソナライズ・レコメンドするためにはどういったデータを集めてくるか。ここが重要となります。

すべてがコネクテッドされた世界へ

ではそのデータの話に入っていきます。これは広告やデジタルマーケティングだけの話ではなく、OMOという概念になってきます。「アフターデジタル」という書籍を読まれた方はご存知だと思いますが、OMOとは「Online Merges (with) Offline」を略した言葉です。「オンラインとオフラインを統合(融合)する」という意味です。

顧客体験の最大化を目指しオンラインとオフラインの垣根を超えて価値創出していくマーケティング施策です。フィジカルな生活がオンラインに取り囲まれているというこのOMOの話をするときに、中国のスーパーマーケットや顔認証で支払える決済システム、AmazonGOなどがOMOの先行事例としてよく取り上げられています。こうした海外の事例を知ると「日本はダメだな。世界に置いてかれてる...。」と思うかもしれませんが、実はこのデジタルとフィジカルが統合された状態は、日常に溢れています。

例えば、自宅にいる時はWiFiに接続されたスマートフォンでメールをチェックしたり、動画をみたり、レシピを調べたり、SNSを見たり。あとはPCとスマホなどの複数のデバイスを同時に操ったり。こうした状況は、ある意味オンラインに取り囲まれた中で物理的な生活が行われているという状態だと言えるのではないでしょうか。

このように見ていくと、実はオンラインに囲まれたオフラインの生活というのは色々なところにあるんじゃないかと実感いただけると思います。

こういった取組みは企業戦略でも進められています。たとえば私が前職でコンサルティングしたBtoC企業様のプロジェクト例になりますが、とあるアパレルブランドでは、3年程前からオンラインとオフラインの垣根を越えた取組みを行っています。

ECサイトで購入した情報と店舗で購入した情報を顧客IDをキーにしてデータを統合し、その情報を元にメールやSNS、LINEなどの複数チャネルでパーソナライズしたおすすめアイテムをレコメンドしたのです。他にもビーコンを活用して実店舗に近づいた顧客に、通知と共にパーソラナライズした情報を出しています。

こういった形でオンラインの情報とオフラインの情報を一つにまとめ、オンラインの色んなチャネルで適切なタイミングでメッセージを送る。ここは言うまでもなく、オンラインとオフラインの垣根を越える取り組みです。

一方BtoBはどうか。コロナ禍以前はこんなにも多くの企業がリモートワークやオンラインミーティングを行うなんて想像できませんでした。それが今では、当たり前のように商談もオンラインで行われていたりします。これがOMOかと言えば違いますが、対面営業だけでなく、展示会やセミナー、カンファレンスなど様々な施策がオンラインで行われるようになってきています。日本は世界に比べてスピードは遅いかもしれませんが、OMOに向けて、B2Bでもオンラインとオフラインの間に引かれた大きな溝を乗り越えようとする取り組みは着実に進んでいると感じます。

ここでの大事なポイントは、オンラインに繋がる=データがたまる、ということです。先ほど申し上げた通り、一人ひとりにあった適切なメッセージを届けるには、そもそもデータが必要です。ではどういった形で、今までデータを活用してきたのでしょうか?これまでの変遷を少し見ていきたいと思います。

データを活用したマーケティングとしては、2000年初期などはいわゆる「デモグラ」と言われる属性情報を元にターゲットする方法が多く取られていました。例えば性別でメールの出し分けを行ったり、居住地によってチラシの内容を変えたりなどです。このマーケティング手法自体は現在でも広く使われています。その後、この属性情報にプラスされてきたのが「行動情報」です。MAやオンライン広告の進化によって、行動情報もターゲティングに使えるようになってきました。よくある使い方としては、Webサイトのあるページを訪問したら広告が追いかけてくる「リマーケティング」。これはWebページの行動情報をベースに広告が発動するというものです。また、オフラインの行動情報も徐々にとれるようになってきました。「商談した、訪問した、展示会に来た」など点の情報にはなりますが、オフラインの情報も一部使えるようになってきています。

先ほどのOMOの話ではないのですが、オフライン上の行動データ、つまり移動データですね。点と点をつなぐ行動情報をしっかり取得して、このデータをもとにターゲティングの精度を高めていくというのが、今後のマーケティングの鍵になってくるのではないかなと思っています。

ここで、人口当たりの自家用車の普及台数を見てみます。東京と三重県や岐阜県を比べると、普及台数が三倍くらい違っていますね。ご存知の通り地方は今も車社会ですし、一家で車を2台持っているのが当たり前だったりします。理由は様々ですが、東京に比べて地方のほうは公共交通機関が充実していないというところもあり、車で移動される方が当然多いという形になります。

では、車で移動するとき、車はオンラインに接続されているのでしょうか。もちろんコネクテッドカーと呼ばれる車も出荷されていますが、日本全体で言うとまだまだです。このオンラインにコネクテッドされた車のモビリティデータをどう活用するかですが、実はその話の前に、実は非常に高いハードルがあります。それは、移動データをどうやって取得するかというところです。

どのようにしてモビリティデータを取得するのか?

Webサイトであれば、トラッキングコードを入れれば行動データが取れます。スマートフォンアプリも、SDKによってアプリの利用状況を簡単に取得できるようになりました。では車の移動データはどうやって取得するのか。これは弊社の例になりますが、弊社が独自開発したSmartDriveデバイスです。こちらは、シガーソケットに挿して走行するだけで、車の移動情報が3秒で取れるようになります。シガーソケットですので、レンタカー、マイカー、社用車、色々なシーンで使うことができます。また、他にもYupiteru様の通信型ドライブレコーダーや、HONDA様の二輪EVバイクなど、3rd Partyのデバイスからもデータが取得できるようになっているのです。

データが取得できたとしても、Googleアナリティクスなども同じ仕組みですが、取得した生データを活用しやすいように加工やクレンジングしたりする必要があります。さらに、データを取得して加工、蓄積しておくだけでは何も生まれませんので、活用しなければなりません。スマートドライブの提供するプラットフォームは、このデータの「取得」「解析」「アウトプット」までを簡単にできるアーキテクチャになっていおりますので、これらを活用して自社のマーケティング活動に活用にしてもいいですし、お客様用のモビリティデータプラットフォームを構築することも可能になります。

ここまでの話を踏まえて、あらためて弊社のビジネスモデルを紹介させていただきます。一番下のレイヤーをデータインプット領域と呼んでおります。ここは先ほどご紹介したように、自社開発のデバイスや他社のデバイスからもデータが取れる仕組みです。次のレイヤーが「データプラットフォーム領域。こちらでは集めたデータをクレンジングしたり、使いやす状態にしています。その上位にあるのがデータアウトプット領域。ここでは、収集したデータを活用してもらうレイヤーです。スマートドライブ自身も、データを活用した様々なサービスを展開しております。

モビリティデータをマーケティングに活用する取り組みの事例

このようにして、オフラインの行動情報についても取得ができるようになっているのですが、例えば「あなたの移動データをください」と言ったところで、ほとんどの人が「どうぞ」とはならないかと思います。データを渡すからにはメリットがあるはずと誰もが思うでしょう。

また、走行データを取得して、色々なサービスをつくりたい、マーケティングに活用したいという思いはありつつも、それをゼロから作るのは結構大変だったりします。弊社では既にBtoC向けBtoBtoC向けのサービスがあるので、この既存サービスを活用して、様々な施策にご利用いただいているというケースも多いです。

まず、既存の弊社サービスについて少し紹介させください。

SmartDrive Families

BtoC向けの家族の運転を見守るサービスです。遠方にお住まいのご両親の車につけて運転を見守るですとか、一緒に住んでいる家族向けにも使用されています。買い物から帰ってくるタイミングをみて家事を準備する、スーパーにいることが分かるので「〇〇を買ってきて」とお願いをするなど、日々の生活の中で車の位置情報を把握して利便性を高めるというサービスになります。

SmartDrive Cars

こちらあドライバーエンゲージメントサービスと呼んでいるのですが、簡単に言うと安全運転をするとポイントが貯まり、その貯まったポイントを様々なギフトサービスに交換が出来るというサービスです。

たとえばですが、走行の傾向や距離に対してクーポンを発行したり、店舗のご案内メッセージを出すことができるようになっています。

次に、具体的に取組みをさせて頂いているユースケースを紹介します。

ロイヤリティマーケティイング

Pontaカードを展開するロイヤリティマーケティングとスマートドライブ は、Mobility Data Platformの移動データを活用した、ポイントサービスの実証実験を実施しております。実証実験へ同意いただいたPonta会員を参加対象モニターとし専用デバイスを配布し、ロイヤリティマーケティングは自動車にセットされたデバイスを通じて収集した移動データと、Ponta提携店舗やその周辺の利用状況を掛け合わせて分析。今後、Mobility Data Platformを用いたデータ利活用を通じて、9,000万人以上のPonta会員の興味や関心に寄り添うサービス開発など、新たな事業・サービスの創出を目指しています。

さらにはマーケティングとは異なる視点になりますが、地域社会の持続的発展に向けた、モビリティデータの活用も進んでいます。

小田急電鉄

小田急沿線において、家族見守りサービス「SmartDrive Families」を連携して提供することを2020年3月から開始し、「安心・快適な新しいモビリティ・ライフの実現」に向けて協業しております。将来的には、「SmartDrive Cars」の安全運転に対するポイント付与機能の活用や、ドライビング評価をきっかけに免許返納を行う方や運転に不安を覚える方への公共交通機関の利用の提案、MaaSや地域密着型サービスプラットフォーム「ONE(オーネ)」との連携などを通じ、社会・地域の持続的発展を目指します。

出光昭和シェル

超小型EVカーシェアリングの実用化に向けた実証実験を実施しております。出光興産が2019年8月より岐阜県飛騨市および高山市で展開している、超小型EVを活用したカーシェアリング事業化に向けた実証実験において、当社の「Mobility Data Platform」をご利用いただいております。

こういった形で、弊社は車の移動データを簡単にとれる仕組みを構築しています。そのデータを収集して加工し、サービスに使いやすい形にしていく、というところに強みがありますので、もし移動データを活用してサービスを作りたいですとか、移動データを分析してマーケットのセグメントをシャープにしたいですとか、何かご相談がございましたらお気軽に連絡をいただければと思います。

私からの発表は以上です。ご清聴ありがとうございました。

DOWNLOAD

セッション資料イメージ