コロナの影響で売上が減少するなかで、軽貨物事業者やタクシー業界はどう対応すべきか

コロナの影響で売上が減少するなかで、軽貨物事業者やタクシー業界はどう対応すべきか

サービス業、製造業、卸売行、建設業、飲食業など、業界を問わず前代未聞のダメージを与えている新型コロナウイルス。全国に向けて発令された緊急事態宣言により、経済活動が急激に縮小する中で、それぞれの業界、企業はサービスへの方向転換や新規サービスの創出を求められています。

新型コロナウイルスは軽貨物運送業へどのような影響を与えているか

新型コロナウイルスは、物流の要となる運送業にも大きな打撃を与えています。緊急事態宣言の発令によって、飲食店をはじめ、大型商業施設、娯楽施設などの一時閉鎖が全国で相次いだことで荷物の配送量が大幅に減りました。また、部品や製品が中国から入ってこないため輸入による荷物も激減し、イベントやカンファレンスの開催自粛により、イベントで使用する機材を運ぶ業者も仕事がストップ…。このような流れを受け、運送業界では施設向け、法人向けの荷物の配送が大幅に減少しています。
しかし、法人向けと相反して、個人向けの配送量は多様化し、短期間で一気に増加傾向へ。外出自粛に伴いテレワークで仕事をする人や休校で自宅にいる子どもが増え、個人が自宅で気軽にネットショッピングでモノを購入したり、食事のデリバリーや日用品などの宅配サービスを利用したりする機会が増えたことが原因ですが、そうした個人消費を支えているのが軽貨物運送事業者です。

軽貨物運送事業者が取り組むべきこととは

軽貨物運送事業者は大型や中型ではなく軽貨物車両を使用して荷物を届ける運送業です。大型車両であれば1運行あたり走行距離が347km(国土交通省が2015年に発表した「トラック輸送状況の実態調査」による)ですが、軽貨物車両であれば172km。長距離輸送はほとんどなく車両が小型のため小回りがきく。つまり、地域に密着しつつ、多くの集配箇所を回ることができるのが特徴であり強みだと言えるでしょう。

感染防止の三密(密閉・密集・密接)を回避しようと、飲食店で食事をするお客さんは大幅に減りましたが、自宅で食事をとるためにスーパーへ買い出しに行く人が増えました。しかし、一部のメディアでは連日列をなし、混雑するスーパーの様子が映し出され、買い物自体が感染の一因になるという認識も強まってきました。週に一度、家族の中の一人が買い出しに行く、混雑する時間帯を避けるなどといった回避方法もありますが、さらなる安全対策として、ネットスーパーやデリバリーサービスを活用する人も急増。店舗からは配達が追いつかないという声も聞こえています。スーパーやテイクアウトを実施している飲食店はもともと配送業者ではないため、一時的なオーダー急増のためにトラックやドライバーを確保するわけにはいきません。そこを軽貨物事業者が連携することでフォローできれば、需要と供給のバランスが取れるだけでなく、サービスの幅が広がるのではないでしょうか。

自粛の中で、軽貨物事業者が生き残るために

新型コロナウイルスの感染拡大への収束に予測がつかない中で、どのように生き残って行くべきでしょうか。先ほどお伝えした状況を踏まえると、押さえるべきポイントは2つあります。①感染防止への対策を考えること②視野を広げて新たなサービスの可能性を見出すことです。
① ドライバーが感染しないよう、徹底した防止対策を講じる
ヤマト運輸は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う一時的な対応として3月から非対面で玄関前に荷物を置く受け取り方法を実施、佐川急便はスマホを使用したサインを取りやめ、日本郵便はあらかじめ指定した場所に荷物を届ける置き配による非対面受取を導入するなど、安全に荷物を届けるために各社それぞれに感染防止策へ取り組んでいます。また、どの業者においてもアルコール消毒やマスク着用、ドライバーの検温を義務付けるなど、対策を徹底したうえでドライバーを新型コロナウイルスから守っています。
② 現状を正面から捉え、「このような状況の時に何をどうすべきか」と頭を切り替えて新たな取り組みを実践する

物流が止まると、人々の生活もストップします。必要不可欠な存在であるからこそ、活躍できるシーンはまだまだあるのです。たとえば、飲食店と連携して新たなデリバリーサービスを開始したり、スーパーの個人宅への配送ビジネスを一緒に行ったりするなど、フォローすべき新たな“隙間”を見つけ、自社サービスに昇華させていきましょう。

B2B向けに限定せず、これを機にB2CやC2Cなど、視野を広げてサービスの幅を拡充すれば、今後の新たなビジネスへの活路が見いだせる可能性もあるでしょう。

タクシー業界の変革〜人を運ばないサービスを提供する

外出の自粛により、人が移動をする機会が大幅にダウン。日常的に便利な移動手段として人々に利用されてきたタクシーですが、移動の制限により、稼働台数を減らしたり、一斉解雇を通告したりと、活躍の場が失われつつあります。しかし、ここで視点を変え、逆境に打ち勝つために趣向を凝らしたサービスを展開しているタクシー会社も存在します。

「乗らないタクシー」が人々の生活をサポートする

4月17日、Twitterでのある投稿が話題になりました。
「こんな時だからこそタクシー会社がすべきこととして来週4/20から『乗らないタクシー』を始めます!」(原文ママ)
新潟県長岡市にあるタクシー会社、つばめタクシーが人を目的地へ届けるのではなく買い物代行などを行う乗らないタクシーというサービスを開始すると告知しました。利用者から電話で依頼を受け付け、スーパーでの買い物代行や薬の受取、書類の代理送付などの代行サービスを行うと言います。外出自粛と言われていても、どうしても外出が必要となるシーンはありますし、高齢者や移動を自粛している人々からのニーズも考えられます。稼働率が低下しているからこそ、移動しない人のサポートをする、かわりに移動をするなどの隠れたニーズをサポートするサービスが求められるかもしれません。

おつかいタクシー

タクシー・ハイヤーサービスを提供している三和交通株式会社は、4月6日より代行サービスの「おつかいタクシー」の運行をスタート。実は同社は、過去にも忍者姿で迎車する忍者でタクシーやSP風タクシー、心霊スポット巡礼ツアーなど、新たなおもてなしのかたちを体現すべく、数々のユニークなサービスを提供してきました。柔軟なアイデアかつ瞬発力の速さを武器に、いち早くサービスを開始しています。ドライバーの検温、マスク着用や手洗い、車内消毒など感染予防の対策を実施しており、荷物の受け取りも安心です。

美味しい食事をあたたかいうちにおとどけ。出前タクシー

茨城県水戸市のさわやか交通では、買い物代行のほか、飲食店のテイクアウト料理をデリバリーできる出前タクシーをサービスとして開始しています。お弁当、ファーストフードだけでなく、通常はテイクアウトをしていないお店の料理も可能です。

もちろん、これらは通常のタクシーとしても利用できますが、タクシー業界全般に稼働率が低下する中で、こうした取り組みは新たなサービスへの活路を見出すことになるのではないでしょうか。

新たな取り組みに対して成果をはかるには

経済の縮小で法人サービスへの需要は減っていますが、個人向けサービスはニーズが拡大しています。新たなサービスを構築・展開し、それをマーケットにフィットさせるには、効果を図りながら少しずつ改善していく必要があります。新規サービスの需要を見極め、成果を上げるためには、試行錯誤しつつも限られたリソースの中でPDCAを回していきましょう。

見えない稼働を可視化することで効果をはかるー車両管理システムで回すPDCA

軽貨物運送業者もタクシーも、基本的には車両で移動するため、具体的にどの点を重視して改善すべきかが見えづらいかもしれません。そこで役立つのが車両管理システムです。

車両管理システムのポイント1. リアルタイムでの位置情報がわかる

位置情報がわかることで、管理者・ドライバー・利用者間の情報のやりとりがスムーズに。急な配送ルートの変更も可能です。

車両管理システムのポイント2. 効率的な配送ルートがわかる

走行ルートが毎日記録されるので、どの地域でどのような需要が多いか、効率よく回るにはどのルートが最適化を検討することができます。

車両管理システムのポイント3. 車両による事故を防ぐ

車両を運転する時間が長くなるほど、交通事故のリスクも高まりますが、車両管理システムには安全運転走行を意識づける機能も搭載されています。特許を取得した安全運転診断機能により、ドライバー一人ひとりの運転のクセや危険運転を可視化。危険運転を自動検知すると、走行毎に管理者へ通知することもできますので、事故防止にも役立ちます。

あらゆる企業は、“今”需要があるマーケットを早期に見つけ、自社が持つノウハウやアセット、技術を活かしたサービスを展開することで、逆境を乗り越えることができるのではないでしょうか。

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